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書庫1ぞっこん名盤セレクション 〜70年代ロックのきら星たち〜

●ここで取り上げたアルバム


「スタンピード」


「ドゥービーズ・ベスト!」

●「毎日中学生新聞」(毎日新聞社)96年4月30日号 掲載

(3)ドゥービー・ブラザーズ

 ドゥービー・ブラザーズは、アメリカのにおいがプンプンするロックンロールバンドだ。小気味のいいリズムギターのイントロが鳴ると、もうそれだけで踊り出したくなるくらい、ハッピーな気分にさせてくれる。

 なかでも、75年に発表した「スタンピード」というアルバムは、もうレコード盤がすり切れるほど聴き込んだ名作なんだ。アメリカ西部の広大な土地に漂う土ぼこりのようなにおいもするし、澄んだ川の水のような透明感もある。

 このアルバム発表後、しばらくして初来日するってビッグニュースが飛び込んできた。僕は迷わずチケットを買ったよ。あのドゥービーが生で見られる……想像しただけでワクワクしてしまって、興奮しながら会場へ足を運んだ。

 ところが来日してみたら、リードボーカルが突然交代してた。どうやら病気が原因だったみたいだけど、これまでずっと聴き慣れていたボーカルが変わったんだから一大事だよ。

 ロックバンドでリードボーカルが交代するのは、実はそんなに珍しくないことなんだ。だけど普通は、バンドのカラーに合った人選をするよね。

 でも、聴き慣れたトム・ジョンストンというボーカリストから代わったのは、マイケル・マクドナルドという人で、全然イメージが違うんだな。おまけに、グループの音楽性もガラッと変わってしまった。

「ヘーイ! アメリカの田舎からやってきた、ワテら陽気なロックンロールバンドでっせ」って感じだったのに、「ニューヨークの摩天楼で、僕たち紳士と淑女はマティーニでも飲みながら愛を語り合っちゃうもんね」って感じになって、そりゃもう驚きましたよ。

 皮肉なことに、アダルトな雰囲気のドゥービー・ブラザーズは音楽業界のインテリたちに評判がよくて、78年発表の「ミニット・バイ・ミニット」はグラミー賞4部門を受賞してしまった。でも僕はあまりうれしくなかったな。

 そんな彼らが、オリジナルメンバーで再結成したのは89年。トムも病気が治って舞い戻り、昔ながらのサウンドがよみがえった。そして再来日。初来日の時は3千人程度の会場だったのに、今度は2万人も入る大会場だ。

 遠くに豆粒のように小さく見える彼らの演奏を聴きながら、僕はつぶやいた。「あの時、キミたちのコンサートが見たかったよ!」ってね。

 93年発売の「ドゥービーズ・ベスト!」には、両方の時代のドゥービーの名曲がたっぷり入ってて、比較しながら聴くにはいいかもしれない。でも僕のぞっこんは、やっぱり「スタンピード」なんだよなあ。

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